2023年05月25日 シンジュサン
21年前の2002年9月、綺麗なイモムシと出会った。シンジュサンという、本州最大の蛾の幼虫である。 成虫の姿は図鑑等で知っていたが、実物を見た記憶はない。それ以来、いつか見てみたいと思いながら21年の月日が経った。
早朝愛犬散歩で、いつものように歩く道路高架下。その外灯の下に巨大な蛾の姿が見えた。「エッ? この時期にいったい何?」と近づきながら「ウォォッ!」と声が出てしまう。そう、シンジュサンがいたのだ。
Panasonic LUMIX G99 + LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm/F2.8
なんという大きさ! そして美しくも妖しい模様の翅! 翅の先端は蛇の頭のように見えることでも知られる蛾だ。
Panasonic LUMIX G99 + LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm/F2.8
実物を見ると確かに蛇のように見える。鳥などから身を守るための威嚇効果があると言われている。
左側の翅を少し立たせた状態だったので、横からも撮ってみた。
Panasonic LUMIX G99 + LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm/F2.8
裏から見た翅は表面とそれほど変わりないが、本体というか胴体が面白い。褐色、暗褐色、白という単調になりがちな色彩ながら、脇腹の模様や背中の白い点刻、脚の色使いも洒落ているし、櫛歯状の触覚は褐色だ。
シンジュサンは「神樹蚕」と書き、「神樹」とは落葉高木の「ニワウルシ」のことらしい。ニワウルシは英語で「Tree of heaven」つまり「天国の木」と呼ばれ、それがドイツで「Götterbaum 神の樹」と訳されて「神樹」と呼ばれるようになったという説明を見た。そのニワウルシが食草のひとつなので「シンジュサン」というそうだ。
虫撮りを始める前は「真珠」を想像していたので、図鑑を見ながら「何故この蛾に真珠の名がついているのだろうか」と疑問に思ったものだ。