2001.12.31 今年のベストショット
今年も残すところ後2時間。 昨年と同じように、今年掲載した中で1番のお気に入りを載せることで、1年の締めくくりとする。 6月27日に載せた夕焼け空を眺めるキボシカミキリの画像を選んでみた。 この1年間、虫撮り散策をしてきて強く感じたことは、「見方によって見え方が違ってくる」という、極くあたりまえのことだ。 『鳩翁道話(きゅうおうどうわ)』に次のような話がある。 眼の不自由な人が眼医者に行き、そこで両目を取りだし水洗いをし、干していたところ、カラスに一つ取られてしまったそうだ。 そこで医者は、通りかかった犬の眼を取って、患者の眼に戻したところ、1週間経ってその患者が言ったそうだ。「おかげでよく見えるようになったけれども、便所で下の糞(江戸時代の話です。便所はもちろん汲み取り式)を右眼で見たら汚く見えるが、左眼で見たら美味しそうな御馳走に見える」と。 つまり右眼は人間の眼で、左眼は犬の眼だからそのように見える・・・世界が違えば見え方も違うという喩え話だ。 佛教にも「一水四見(いっすいしけん)」という同じような話がある。 
それまでは「虫けら」「雑草」と気にもとめなかった存在だった昆虫や植物だが、その美しい造形や長い歴史の中で形成された生態など、キラキラと輝いて見えるようになってきた。 と同時に、それまで心躍らせていたきらびやかな人工物が、色褪せて見える・・・どころか、「あんなものわざわざ作らなくてもいいのに」なんて批判的な見方さえするようになった。 どちらが善いとか悪いとか、正しいとか誤りだとかいうことではない。 立場や価値観が違えば見え方も違うのだ。 身近な処にもこんな素敵な世界があるよ、という驚きや喜びを、もっともっと多くの人に知ってもらえたらな、「あっ、こんな見方、視点もあるのか」と知って頂けたら、という思いで始めた「虫撮り散策記」。 今年も多くの方々に見て頂いて、本当に有難うございました。 来年もボチボチと更新してゆきますので、どうぞ宜しくお願い致します。 
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