野山に出かけよう 散策のポイント
- ●はじめに●
- 「このページについて」でも書きましたが、私が「虫撮り散策記」を作ろうと思った意図の一つに、多くの人々に昆虫の面白さを知ってもらいたい、ということがあります。そして、ただ単に知ってもらうだけでなく、これをきっかけに実際に探してみようと思ってもらえれば本望です。特に今の子供達は、塾やスポーツが忙しく、遊びといえば屋内でのテレビゲームが中心になっているようですが、子供達にはもっともっと外に出かけて遊んで欲しいと思います。いろんな色や形の昆虫を実際に目で見て、体で感じて、その行動の面白さや、それをとりまく自然の素晴らしさ等を体験することは、テレビゲーム以上に、人生の大きな糧となることでしょう。
このページで紹介している虫達は、ほとんどが身近な野山を散策する時、片手にデジカメを持って撮影したものです。つまり本格的な装備をしなくても、専門知識がなくても出会える虫が大半だと思います。仕事が休みの時、あるいは早朝や夕方等、生活の息抜きに、あるいは子供さんの体験の場として出かけられることをお勧めいたします。
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- ●虫はどこにいる?●
- 「身近なところ」という表現を、度々使っていますが、じゃぁ一体どこが身近なのかという定義が必要かもしれません。私にとっての身近とは、「自宅の周辺で、しんどい思いをしなくても歩いて行けるところ」くらいに思っています。あるいは、車で行くような自宅から離れたところでも、車道沿いの草むらとかも「身近」と考えています。しかし、中には繁華街のど真ん中に住んでるとか、都心に住んでいるというお方もいらっしゃることでしょう。周辺には田畑もなく雑木林もないというお方も多いかもしれません。しかし、昆虫は都心の街路樹や公園の草むらにもたくさんいるそうです。落ち着いてじっくり探してみて下さい。初夏の花の中、葉っぱの裏側、茎や幹など、きっと何らかの虫に出会えると思います。「それじゃもの足りない」というお方。休日の早朝から郊外の田畑に出かけてみて下さい。テレビや雑誌で紹介されるような「虫の名所」に行く必要はありません。土手に生えた草むらにそっと近づいてみると、ハムシやコガネムシの仲間やカメムシの仲間、あるいはチョウやハチに出会えます。もっと大物が見たいというお方は、やはり雑木林に行ってみられるのがいいでしょう。クヌギやコナラ・・・所謂ドングリの木が生えたところがそうです。山間部の奥深くに入る必要はありません。カブトムシやクワガタ等は、割と人の手がはいった郊外の農地付近の雑木林によくいるものです。よくわかりませんが東京のど真ん中でも1、2時間も車で走ればそういう所があるんじゃないかと思いますので、探してみられては如何ですか?
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- ●虫を見つけるポイント●
- さて、実際に公園や、雑木林などに出掛けてみたものの、一体どこに虫がいるのやら? 虫を探すにはいくつかのポイントがあります。
- ★餌のある所
- 生き物は皆、何かを食べないと生きてゆけません。昆虫も例外ではなく、餌となるものがある場所を探せば、わりと容易に目的の虫を見つけることができます。
- 例えば、チョウやハチは花の蜜が大好きなので、花の咲いているところを探すとよいでしょう。ハムシやオトシブミ、バッタ等は木の葉などを食べるので、葉っぱを見て虫食いの後がある木や草を丁寧に探すと見つかることがあります。カブトムシやクワガタ、カナブン等はクヌギやコナラの樹液に集まります。特にクヌギに関しては、樹液だけでなく葉にもたくさんの虫が集まるので要チェックです。上記のもの以外にもハチ、アブ、アリ、チョウ、ガ、ハムシやオトシブミ、カミキリムシ、ゾウムシ、ナナフシ、セミ、バッタ、カマキリ等々、実にたくさんの昆虫が集まってきます。郊外の田畑周辺の樹液がよく出るクヌギの木を1本知っているだけで、多くの昆虫に出会えることでしょう。
- ★産卵する所
- 多くの昆虫の成虫の役割は「子孫繁栄」つまり交尾と産卵だと言っても過言ではないでしょう。虫達は、それぞれの子供達が育ちやすいような場所に産卵にやってきます。
- トンボの幼虫ヤゴは水中でボウフラ(蚊の幼虫)や小動物を捕まえて食べるので、そのような環境にあるため池や田んぼに産卵にやってきます。チョウはそれぞれの幼虫の食べる植物の周囲で見つけることができます。モンシロチョウならキャベツ、アゲハならミカン類と決まっているので見つけるのは案外簡単です。
- ★外灯の下
- 昆虫には昼間活動するものと、夜活動するものとがいます。前者にはチョウやトンボ、セミ、ハチ等、後者にはカブトムシやクワガタ、ガ等がいます。特に夜行性の虫は外灯の光に飛来することが多く、雑木林や田畑周辺の外灯の下に行くと、いろんな昆虫を見つけることができます。
- 他にもたくさんのポイントがあると思うし、また上記についても説明が不十分だと思います。もっと詳しく知りたい方は、当ホームページの「写真館」の解説を参考にされるか、もっと詳細に解説される他所のページ等を参考にして下さい。
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- ●何を持って行けばいい?●
- 目的にもよりますが、撮影が目的であれば、カメラひとつでいいと思います。コンパクトカメラや使い捨てのレンズ付フィルムでは、あまりいい写真が撮れません。というのも、昆虫は小さいので通常のレンズではとらえにくい、あるいは非常に小さく写ってしまって、何が何やらわからなくなります。できれば一眼レフカメラにマクロレンズを装着するとか、デジタルカメラならほとんどの機種に標準でマクロ機能がついてますし、撮ったその場で画像が見れるので、失敗をおそれずにバンバン撮ることができるのでお勧めです。画素数にこだわらなければかなり手頃なものもあります。デジカメの場合は予備の電池やバッテリーを持っていると安心です。余裕があれば記録メディアも予備があるといいですね。
採集が目的の場合ですが、私は採集をほとんどしませんので、たまに小学生と採集する時は、ホームセンター等で売ってるような安い捕虫網とケースを持って出かけます。ケースは持ち運びやすく、しかもなるべく大きなものの方がいいと思います。というのも、カブトムシやクワガタ、カミキリムシ等はとてもケンカっ早く、あまり小さいケースだと傷つけあって家に帰った頃には瀕死の重傷だった、ということがあります。少し重くなりますが、ケースの底には10〜15cmくらいでいいですから、腐葉土や市販の昆虫マット等を敷き、採集した場所のクヌギやコナラなどの枝(葉っぱ付き)を入れておくとよいでしょう。飼育する場合も同じですが、基本的にその昆虫が住んでいる環境に近い状態にしてやることが大切です。もっと本格的に、という方は他所のページ等を参考にして下さい。
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- ●服装はどうしよう?●
- 行き先によります。私は基本的には夏場でも長袖・長ズボンで出かけますが、例えば近くの公園に行くのにそれほどの服装は必要ないでしょう。しかし、郊外の田畑に行く時は蚊やハチから身を守るため、長袖・長ズボンにした方がよいでしょう。さらに地元の人などに聞いてマムシが出るような所であればゴム長ぐつを履いた方がいいです。雑木林や山間部に行く時は、さらに首にタオルを巻くとか、ハイネックのシャツを着るとかの工夫が必要です。木の上から落ちてくることがある、ケムシやムカデ等から身を守るためです。私が少年時代には、皆半袖・半ズボンに草履といういでたちで、平気で山奥まで入っていましたが、ある時樹上から落ちてきた大きなズアカムカデがシャツの中に入り、声にならない声で悲鳴をあげたこともあります(刺されなかったけど)。 それから、手袋も持って行った方がいいでしょう。軍手でもいいのですが、私は冬用の人工皮革の防寒手袋を使うこともあります。そういえば30前の頃、突然クワガタを採りに行きたくなって、
会社の同僚と二人でスキーウェアを着てスキーブーツを履いて、スキー手袋をつけて、ゴーグル等もつけてストックのかわりに捕虫網を持って雑木林をはいずり回り、出会った農家のおばちゃんに致命的な不信感を与えてしまったほろ苦い経験があります。あまり過激な装備も良し悪しです。なによりもあまりの暑さに脱水症状になってしまいますので、服装は「肌の露出を最低限に抑え、かつ、軽快に」というのが鉄則でしょう。
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