2003.07.22 カブトムシ E5000
夜 仕事部屋の窓に、何かがぶつかる音がした。 「あの音の大きさはカブトだ」と外に出てみると、赤みの強い瑞々しいカブトムシのメスがいた。 
話は変わるが、この度の西日本の集中豪雨は大変なものだった。 ここ山口県内でも小規模の土砂崩れが多発した。 各地での被害報道を観ていると、一昨年の散策記で書いた孟宗竹が、画面のあちこちに映っていた。 「よかれ」と思ってやったことが、後に災いを招く・・・なんとも皮肉なことであり、実際私のこれまでの人生の中でも、何度も当事者として体験してきたことだ。 何が善で何が悪なのか、それすら分からない私なのだから・・・。 今こうして夜の夜中に明かりを皓皓と付けて机に向かっている私の行動は、自然界においてはやはり不自然なものだろう。 だから用も無いのにカブトムシのメスが飛んで来たりするのだ。 もう数十年前の語録だが、夜に明かりを付けない外国の地に行った日本人と現地の人とのやりとりを読んだことがある。
「あなた達は何故夜になっても明かりをつけないのか?」
「日本人は夜に明かりをつけるだろうが、我々は夜にあかりをつけない。あかりをつけると夜が無駄になる」
夜明かりをつけてまで起きているなんて勿体ないじゃないか、せっかく夜になったんだから、夜は夜の静寂を楽しもう、といったところだろうか。 既に夜は明かりをつけて仕事をする生活が定着している私だが、蚊帳を吊った暗闇の中で、クツワムシの合唱を聴きながら眠っていた子供の頃が懐かしくなった。 後戻りはできないが、今何をすべきか、また何を残し、伝えてゆくべきか、考えさせられたカブトムシの訪問だった。
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