2006.10.17 ミツバチ&アヅチグモ FZ50
日中は夏日となる暑さだったが、朝はひんやりとした空気が秋の深まりを感じさせる。 娘達を保育園に送った後、道沿いの草むらを 暫し散策してみた。 満開のセイタカアワダチソウの葉に、ミツバチらしきハチがぶら下がっている。 見れば 小さな白いクモがミツバチの首根っこをくわえているではないか。 ミツバチの後脚に、小さな花粉団子がついているところをみると、セイタカアワダチソウに吸蜜に来た時に捕まったのだろう。 残酷な場面ではあるが、朝露の残る花や葉に囲まれて、光を浴びるその様子は、厳かな感じさえする。 死は生と切り離しては考えられない。 たとえ小さな虫であろうとも、その死は厳かなものだと受けとめてゆきたい。
先日「芸能人が選んだアニメベスト100」というテレビ番組をやっていた。 「巨人の星」の所で紹介されたのが、主人公・飛雄馬の最愛の人・美奈が黒色肉腫で亡くなった場面だ。 その時のスタジオの反応に愕然とした。 ゲストの芸能人達を筆頭に、スタジオ中が大爆笑・・・。 
「私たちは戦後、がんばって乾いた社会をつくってきた。・・・中略・・・そしていま、私たちは見事に乾いた社会を実現したといっていい。 感傷を否定し、涙を軽蔑し、悲しみをパロディー化することで笑いとジョークの王国を築きあげたのである。」(五木寛之『仏教のこころ』より) 
実は私もそうして過ごしてきた。 物事を深く考えることを避け、刹那的かつ享楽的に生きてきた。 その影で、多くの いのち が傷つき、奪われてゆこうが、思いを致すことを回避するかのように、空笑いして過ごしてきた。 だって楽だから。 しかし同時に漠然とした空しさを抱えていたのも事実だ。 
30歳を過ぎた頃から本を読み始めた。 貪るように読んだ。 そして泣いた。 歳のせいもあるのかもしれないが、映画やアニメでも泣くようになった。 小さな虫を見てるだけで、胸が一杯になることもある。 思春期に強制排除した大切なものが、少しずつ復元されているような気がする。
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