2006.09.20 リスアカネ FZ50
夕方、庭先にリスアカネがいた。 夕日を受けて、淡い茜色を帯びた姿は、なんとも美しい。 
 蜻蛉(とんぼ) 釣り 今日はどこまで 行ったやら
加賀の千代女が詠んだ(ものかもしれない)と言われる句だ。 千代女といえば「朝顔や つるべとられて もらひ水」の句が有名だが、その生涯については、はっきりしない部分が多い。 幼い子に先立たれたとも言われており、もしもそうなら「蜻蛉釣り・・・」の句は、何と悲しい句であろうか。 他人事ではない、私にも大切な人との別れは訪れるし、なにより私自身も必ず死を迎えるのである。 理屈では解決できない悲しみを、既に抱えている私である。 千代女もまたしかりである。 その千代女が六十歳の頃に詠んだ句に、悲しみを超えてゆく境地がうたわれているようだ。
 うつむいた 処(とこ) が臺(うてな) や 菫草(すみれぐさ)
解釈は色々あろうけれども、私にはとても温かい、味わい深い句である。
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