2003.04.29 ナシグンバイ E5000
裏庭のヒメリンゴの葉裏に、小さな虫がいた。 体長5mm弱のこの虫は、一目でグンバイムシの仲間だと分かる容姿をしている。 図鑑に照らし合わせたところ、どうやらナシグンバイのようだ。 よほど注意していないと、葉っぱに付いたゴミくらいにしか見えないのに、その形と模様の複雑さは圧倒的な存在感だ。
話は変わるが、各地で選挙が行われた。 ここ山口県でも盛んに選挙カーが走り回っていた。 最も注目されたのは、原発問題で真っ二つに分かれた上関町長選だ。 結果は推進派の女性(72歳)が当選された。 原発の是非はともかくとして、「原発なくして町の発展はない」というような発言がなされていたようだ。 上関町に限らず、どこでも地元自治体の発展ということを強調していた。 「あたりまえじゃないか! 発展しなくてどうする!」と言われそうだが、果たしてそうだろうか? 「発展しなくては」と言うからには、現状に不満を抱えているということだろう。 
以前も引用した倉本聰氏の言葉を再び引用する。
「便利ということと豊かさということの混同を我々は余りにも犯しつつある気がする。便利ということを無限に追求し、自らの欲望に歯止めをかけることを忘れた人種を、果たして文明人と言えるのだろうか。ヒトは新しい野蛮への道を今やコツコツと歩いているのではないのか。
 ゴールは何回もあった気がする。
 冷蔵庫を手にした時、あれもゴールだった。車を手にした時、あれもゴールだった。家を手に入れた時、あれもゴールだった。それらの喜びそれらの満足をゴールの情景として今思い出す。」
        『ゴールの情景』倉本聰著 理論社
もちろん現状に不満点が無いわけではない。 しかし具体的な未来像や、政策の根っこになるべき哲学が無ければ、それは破滅への道でしかないだろう。 私達は十分に裕福な暮らしをさせて頂いてると思う。 たかだか40年前と比べても、当時からは想像もつかないくらいにモノが溢れかえっている。 このうえ何をどう発展させなければならないのだろうか? たいして必要性のない大掛かりな公共事業によって、失われているイキモノ達の いのち は数えきれない。 そのツケは既に現在の私達の身の回りや、精神面にまで影響が表れている。 常に前向きに進むのも大切なことだが、時には歩を止めて後を振り返ることによって、逆に進むべき方向が見えてくることもあるのではないかと思う。
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