2001.08.07 ツクツクボウシ
昨年は7月下旬から鳴き始めたツクツクボウシの声を、今年は昨日初めて聞いた。 ツクツクボウシは大体お盆頃から9月にかけて盛んに鳴く、セミの中ではトリをつとめる。 中国の古い書物に「ケイコは春秋を識(し)らず」という言葉がある。 ケイコとは中国にいるセミの名前らしく、夏の終わりに現れるそうだ。 御存知のようにセミは長い幼虫時代を地中で過ごし、夏に地表に出て成虫に成る。 そして夏の間に成虫としての命を終えてゆく。 つまり外の景色に関しては夏しか知らないのだ。 春に桜の花が咲くことや、秋に紅葉が色づくことを知らずに、「世の中って暑いものなんだな」と一生を終ってゆくのだろう。 いや、春や秋や冬を知らないのだから「今が夏という暑い季節なんだ」ということも分かっていないのだろう。 それは、自分が今どういう世界に居るのか、自分とはどういう存在なのかを知ることもなく、虚しく過ごしている、私の姿そのものなのかもしれない。
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