2000.10.06 オオカマキリ
この時期いたる所で見かけるカマキリ。 今日も草刈り中に何匹見たことやら。 カマキリはこの時期産卵期に入っており、食欲も旺盛である。 一服するために腰掛けた薪の側に大きなオオカマキリがいた。 何かを食べている。 よく見るとカマキリを食べているようだ。 交尾中に相手のオスを食べ始めたのかと思ったが、足下に散らかっている羽や足などの残骸から、ハラビロカマキリだとわかった。 発見した時は既に腹の先だけになっていたが、驚くことに腹の先だけになったハラビロカマキリはまだ動いているではないか。 昆虫の生命力が凄いことは知っていたが、あらためて感心してしまった。 これまで何度か頭のなくなったカマキリのオスがメスと交尾をしている場面に出くわしたことがある。 その理不尽な光景の裏には、実は深いメカニズムがあったのだ。 オスはメスに頭を食われると、それまで脳や下咽頭神経球に支配されていた交尾中枢の抑制が解放されて、より強い交尾行動の促進がなされるそうだ。 つまり、メスの半分以下の大きさしかないオスは、強じんでどう猛なメスに襲われることを逆手にとって、食べられることによってより確実に子孫を繁栄させる道を選んだというわけだ。 さらに交尾が終れば頭だけでなく、体全部食べられて、しっかりとメスの栄養になる。 悲しくも素晴らしい・・・いや凄まじいメカニズムである。 このようなドラマを毎年毎年、何千年・何万年と繰り返して、連綿と流れる“いのち”を伝えてきた歴史を思うと、目の前のカマキリを「たかが虫けら一匹」などと軽視することなどできない。 その深く永い生命の歴史に、畏敬の念すら抱いてしまう。