2000.09.29 トリバガの一種
きつい一日だった。 午前は来客、午後は小郡町(山口県の表玄関です)での会議。 たいした日程でもないのに昨夜のアルコールのおかげで一日中頭がグラグラ揺れていた。 ちょっと前まではこれくらい平気だったのに、歳のせいかなぁ・・・。
私の状態に同調してか、天候も一日ぐずついていた。 秋雨が降りそぼり、気温もあまり上がらなかったせいだろうか、目立って活動している昆虫はほとんどいなかった。 そんな中、雨に濡れる葉の上に1cm前後の小さなガがいた。 複雑な模様の羽、ケヅメのついた後足、紫褐色の目など、とても面白い造形をしている。 普段なら気にもとめない小さな虫だが、じっくり見ていると、そこには一つの完成された美しさが漂う。 
松尾芭蕉の句に「よくみれば 薺(ナズナ)花さく 垣ねかな」というのがある。 ナズナの花はとても小さく、道行く人々も殆ど気にとめることはないが、よく見ると垣根にナズナの花がそっと咲いている。 派手さはないし、めずらしい花でもないが、ナズナはナズナの花として、他の何をもってしても代えることのできない存在を、そこに精一杯咲かせている・・・おそらく芭蕉の鋭い目は、ナズナの花の中に“存在”の尊さ、素晴らしさを見抜いていたのだろう。