2000.08.31 ハンミョウ
自宅裏の畑で、今年初めてハンミョウを見た。 例年であれば初夏の頃から見かけるのに、何故か今年はいなかったのだ。他所にはたくさんいたのに、我が家に発生しないということは、ひょっとして絶滅してしまったのかと心配していたのでホッとした。
甲虫の仲間(コガネムシやカミキリ、タマムシ、ゾウムシ等)は、体全体が金属質の光沢があるものが多く、特にタマムシの美しさは有名であるが、このハンミョウも負けず劣らず美しい。
以前知人宅の小学生と虫の話をした時、自他ともに認める「虫好き」らしいその子が、ハンミョウを見たことがない、と言うのだ。 私が「そこら中にいるよ」と話すと、半ば疑うような口ぶりで「じゃあ見せてよ」というもんだから連れていった。 実物を目にした彼はしばらく興奮状態であった。 そして「あの虫なら今までも見たことがあった」と言うのだ。さらに「でも、近づくとすぐに飛んで逃げてしまうので、側で見たことがなかった」そうだ。 
ハンミョウには様々な別名があり、代表的なものに「ミチシルベ」「ミチオシエ」等がある。人間が近づくと、サッと飛び立って数メートル先にとまる。再び近づくと、同じように数メートル先にとまる。まるで道案内をしているかのようであり、そこで先の別名がつけられた。 ハンミョウを近くでじっくり見ようと思ったら、身を低くして、なるべく足音をたてないようにし、息を殺してそ〜っと近づいてゆかなければならない。また、太陽を背にすると影に反応するので、これも気を付けたい。 それでもハンミョウは敏感に反応して、飛び立ってしまうことが多いので、後は忍耐力が大切である。 何事も目的達成のためには、それ相応のリスクが伴うものである。 リスクが多ければ多いほど、また感動もいっそう深くなる。 大枚をはたいて昆虫を手に入れるのも、ある意味リスクを伴う感動があるのかもしれないが、自然の中で汗にまみれ、体に傷をつけながら虫に出会う感動はまた格別である。